- 虎ノ門大学院ブログ
- 2019年10月03日
【授業レポート】知的財産条約特論1(田久保泰夫)
国際的な特許制度への理解を深め、活用する力を身につける
■ 世界に通用する特許権を取得するためには、どうしたらいいか? |
経済のグローバル化の進展に伴い、国内のみならず世界規模で知的財産に関する知識が必要となっています。KIT虎ノ門大学院では、こうした課題に対応できる実践的な知識やスキルを身につけて頂けるように1学期に「知的財産条約特論1」を開講しています。
本科目の到達目標は、全16コマの授業を通じて、国際的な特許制度の抱える課題を明らかにし、その課題に対する答えを探求すると共に、これらを最大限に活用する能力を身につけることです。国際的な法的フレームワークを俯瞰し、パリ条約、TRIPS、特許協力条約(PCT)、二国間協定のポイントを説明し、発明の世界的な保護戦略に関して講義を行っていきます。
担当するのは田久保泰夫 客員教授。日本無線株式会社で、知的財産部門で知財の発掘、創出、権利化業務、知財の研修業務に従事した後、大手特許事務所を経て2009年にマイスター特許事務所を設立。現在は弁理士及び中小企業診断士として、知財の活用、権利化業務、知財コンサル、事業計画策定、経営改善計画の策定及びこれらの実行支援を中心に活動しておられます。
■ ケーススタディを通して実践的スキルを高める |
今回は全16コマで構成される授業の最終日の様子をレポートします。「〇〇さんの会社ではどうやって対応されていますか?」「この分野は〇〇さんが一番お詳しいですよね?」など、受講生に問い掛け、発言を促しながらインタラクティブな形式で進む田久保先生の指導方法は、教室の外にまで笑い声が届くこともあり、いつもクラスの盛り上がりが感じられます。
さて、この日のメインテーマはケーススタディ。受講生は各グループ3~4名に分かれ、設問検討15分→グループ討議15分→グループ発表20分のスケジュールで進められました。
高い技術力に基づく優れた製品を武器に、意気揚々と海外事業を展開していく日本の中小企業が、ロゴマーク(商標権)に関するクレームを受けて、思わぬ落とし穴にはまってしまう…そんな失敗を題材にした内容です。
受講生全員のプロフィールを把握し、インタラクティブな授業を展開する田久保泰夫 客員教授
「どの段階のどういった対応が失敗の原因となっていたか?」「どのような手を打つことができたか?」をグループで話し合い、各グループの代表者が発表しました。そして最後にケーススタディに記載されている事実の確認や、クレームを受けた際に採りうる措置について、今後の対応策を含めて田久保先生から細やかな解説がなされました。
受講生の中には企業で知財や研究開発に実際に携わっている方が多く、議論や質疑応答はいつも白熱します。「いろいろな人と考え方をぶつけることには凄く意味がある」と田久保先生も再三おっしゃっていましたが、まさにそう感じる授業でした。
■ 全16コマの授業を終えた受講生の声 |
KIT虎ノ門大学院では、各科目の終了にともない、授業アンケートを実施しています。教育内容の改善とKIT全体の質向上を目的に実施しており、この授業アンケートの結果からもクラスの雰囲気が伝わってきましたので、受講生のコメントを一部抜粋してご紹介します。
「知的財産条約に関する知識はまったくありませんでしたが、その私でも要領よく効果的に条約を学べました」「資料がきちんとシンプルに整理されていて、説明もわかりやすかったです。最近の知財のトピック話も実際的で面白かったです」
「特許法の国際的なフレームワークとその歴史的背景を学ぶことができました。田久保先生の授業の進め方は、毎回和気あいあいと楽しい雰囲気でした」
全16コマの講義を終えたこの日は土曜日の夕方。受講生が幹事となって、虎ノ門キャンパス周辺のお店で懇親会が開催されたようです。2ヵ月間にわたて一緒に学んだ仲間との交流、これも社会人大学院ならではの醍醐味と言えるでしょう。