イノベーションマネジメント研究科について
イノベーションとは何か?その実現に何が必要か?
三谷:近年、イノベーションというものは「ただイノベイティブな人材が少数いれば起こるものではない」ということが認識されてきました。
そもそもイノベーションとは技術革新だけを指すものではありません。社会システムやビジネスシステムなど、何らかのシステム全体が大きく非連続的に変化することであり、さらにその変化には技術や営業?マーケティング、戦略?収益モデルや組織が含まれています。その実現には、必然的に個人でなくチームが必要です。
すなわち、イノベーションには、「イノベイティブなチーム」が、そして経営人材には、そういった「多士済済なチームをマネージできる能力」が必要なのです。イノベーションマネジメント研究科はそのために存在します。
KIT虎ノ門大学院だからこそ実現できた独自のイノベーションマネジメント研究科
加藤:本大学院は新設の社会人大学院ではなく、ビジネスアーキテクト専攻と知的創造システム専攻という形で12年間にわたり数多くのプロフェッショナルを輩出してきた実績があります。
一方で、特に昨今ビジネス分野と知的財産分野の境界が無くなりつつあります。経営人材にとって経営ツールとして知財を認識することの重要性が増していますし、知財人材に対しても経営について意識を持つ必要性が高まっています。
今までも2つの専攻間でそれぞれの科目を受講するというケースは多々ありましたが、イノベーションマネジメント研究科として両専攻を統合することで、さらに選択肢を広げ幅広い人材の育成を目指します。
三谷:イノベーション実現のために、知財の知識やそのマネジメント能力がたいへん重視されるようになっています。企業をマネジメントする経営側の人材も、知財の有用性を理解する必要がありますし、知財側の人材もチームの一員として活躍できることが、イノベーションマネジメント力の向上につながるのです。
加藤:知財はビジネスの中でリスク回避だけでなく、経営戦略にもたいへん有効です。今、知財人材も至る所で「もっと経営を意識してほしい」と言われています。そこには、まさに“チームの一員として活躍してほしい”という、イノベーションチームのニュアンスが含まれています。しかし、ビジネスのルールを知らずにイノベーションのチームに入れませんから、ビジネスを学び「経営を理解した上で知財をどう使うか」ということを思考し、実践できる人材が求められています。残念ながら、今までの大学院のシステムはその要望に応えきれていなかったと思います。
そこで、ビジネスと知的財産という2つのインフラを有するKIT虎ノ門大学院が、知財の知識を持つ経営人材と、経営の知識を持つ知的財産人材を育てるためにイノベーションマネジメント研究科を設置しました。皆さんは、幅広い選択肢の中から自由に科目を選択して学び、望む知識?能力を身に付けてください。この大学院はイノベーションマネジメント力を身に付けるために有効な、フレキシビリティに富んだ環境だと思います。
唯一の体制で取得する実践的MBAと知的財産マネジメントの学位
三谷:経営人材というのは、経営の全てを見る必要がありますから、会計や組織人事、マーケティングやオペレーションなど、幅広い知見が必要です。そのためMBAでの学習領域は非常に広くなっています。そして今、経営人材が見る範囲がさらに広がり、知財やITを含むようになりました。
学ぶ側からすると、勉強する領域や範囲が広がると必然的に座学が増え、内容が浅くなり、多くの知識を学んでも実践で使えないという現象が起こります。当研究科では得た知識をそのままで終わらせず、能力?スキルとしてきちんと使っていけるレベルまで持っていくことを至上の目的としています。そのために最高レベルの実務家教員を揃え、そして、専任教員によるゼミシステムを重視しています。毎週のゼミにより、授業で得たものを血肉とするのです。それによって初めて、イノベーションをマネージできる経営人材の育成が可能となるでしょう。
現在は、国内でも海外でも、どこで仕事をしようと世界を意識しなければならない時代です。グローバルビジネスで活躍する人たちとコミュニケーションを図り、戦っていく上で、ここで得られる実践的な能力と、MBAという学位はきっとその助けとなるでしょう。
加藤:学位の話をしますと、本大学院は知財人材育成のパイオニアとして即戦力となる知財のプロフェッショナルを育成してきたわけですが、修士(知的財産マネジメント)という学位は我が国ではここでしか取れません。一方で知的財産マネジメントを学びながら所定の要件を満たせばMBAを取得することもできるわけですからここで学ぶ意味は大きいと思います。本大学院は、社会のニーズにこたえる知的財産マネジメント人材を目指す方が勉強する環境として、これ以上のものはないのではないでしょうか。