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コガネムシの鞘翅の空力特性を解明した研究論文が評価。航空システム工学科 岡本正人教授らが「日本航空宇宙学会賞(論文賞)」を受賞
威廉希尔中文网站航空システム工学科の岡本正人教授と鮱名啓太さん(2016年 大学院博士前期課程 修了生)が、第27回「日本航空宇宙学会賞(論文賞)」を受賞しました。4月20日に行われた日本航空宇宙学会の年会講演会にて、学会賞の授与が行われ、岡本教授が記念講演を行いました。
日本航空宇宙学会賞は、日本航空宇宙学会が航空宇宙工学と航空宇宙産業の発展を奨励することを目的とし、論文賞、技術賞、奨励賞の3賞を設け、1991年度から毎年、発表された論文や新しい技術を表彰しているものです。今回の論文賞は、過去3年間に発行された論文を対象としたもので、航空宇宙学会の全論文中から、岡本教授の論文を含む2件が選ばれました。
論文名:Effectiveness of Large - Camber Circular Arc Airfoil at Very Low Reynolds Numbers
受賞者:岡本正人(金沢工業大学 教授)
鮱名啓太(金沢工業大学 大学院 博士前期課程機械工学専攻 修了生)
受賞論文「Effectiveness of Large - Camber Circular Arc Airfoil at Very Low Reynolds Numbers」の概要
コガネムシは、体とそれを覆っている鞘翅の間に畳まれた薄い後翅を展開して羽ばたいて飛行します。同時に鞘翅も広げて前翅になります。ところが、この鞘翅の断面形は、飛行機では考えられないような大きなキャンバ(反り)を持った円弧薄翼で、広げることが飛行に有利になるとは思えませんでした。しかし、多くの甲虫は、鞘翅を広げて飛行します。岡本教授らは、昆虫の翅に作用する微小空気力を測定できる独自の風洞装置を開発し、鞘翅の空力特性の解明に取り組みました。まず、キャンバの異なる円弧薄翼の空力特性を系統的に実験し、最後にコガネムシの鞘翅を直接計測して結果を検証しました。実験結果から、キャンバの大きな円弧薄翼は、昆虫にとって性能の点で問題ないことがわかりました。さらに面白いのは、コガネムシの重心位置周りのピッチングモーメントが大きな迎角範囲でゼロになることでした。外乱の影響を受けやすい小さなコガネムシは、この特殊な翼を使って楽に飛行しているのかもしれません。
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