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【金沢市からの受託事業】金沢工業大学建築学部建築学科増田教授の研究室が、金澤町家の生活文化?建築様式等を現代に活かし、失われつつある金沢特有の歴史的なまちなみを回復させるための新築住宅の基本モデルを調査研究
金沢工業大学建築学部建築学科 増田達男教授の研究室では、失われつつある金沢特有の歴史的なまちなみを回復させるために、2018年7月から「まちなみ形成住宅(仮称)」創出に関する調査研究に取り組んでいます。これは金沢市の委託事業として実施しているもので、2018年度中に基本方針の策定を予定しています。
【当取り組みの社会的意義】
金沢には歴史的な金澤町家が約6,000棟残存していますが、毎年100棟を超える町家が取り壊され、正面外観が大幅に改装されたものも少なくありません。これによりまちなみの連担に欠損が生じ、金澤特有の歴史的まちなみの衰退が危惧されています。
当事業では、金沢に息づく「金澤町家文化」とは何か、生活文化や内外部の空間構成、建築技術、環境面等から調査研究を通じて多角的に分析し、金澤町家文化を現代に活かした「まちなみ形成住宅(仮称)」のあり方や基本方針、内外部空間の仕様などを検討します。創出された「まちなみ形成住宅(仮称)」は、まちなみの欠損部分に新築住宅として建設してもらうことで、衰退が危惧される金沢らしい歴史的なまちなみの回復と金澤町家文化の継承を目指しています。
【増田研究室の調査研究の概要】
1)金澤町家に関する既往のデータや調査研究成果を活用し、「まちなみ形成住宅」を設計?施工する際に参考となる正面外観の建築様式を整理します。
2)次代に継承すべき金澤町家の特性要素(金澤町家文化)を分析、精査し、まちなみ形成住宅(仮称)の定義づけ(仕様、グレード、想定される生活のあり方など)を行います。
3)定義の具体化のため、現在、市が大野地区で進めている「まちなみ形成計画に基づく支援モデル事業」の対象区域内において、大野の街区特性を良く表す2つの典型的な宅地を設定し、「まちなみ形成住宅(仮称)」のケーススタディを行います。これにより、「まちなみ形成住宅(仮称)」の内外部の空間構成等を具体的に検討し、基本方針を策定します。
今年度策定した基本方針は今後、「プロトタイプの設計」、「モデル事業」につなげていくことを目指しています。