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電気自動車向けのモータの改良案を考案し、設計?制作して性能を証明。大学院生の寺家尚哉さんが電気学会産業応用部門大会で「YPC優秀論文発表賞」を受賞

大学院工学研究科博士前期課程 電気電子工学専攻2年の寺家尚哉さん(深見正研究室)が、8月20日(火)~8月22日(木)長崎大学文教キャンパスで開催された「2019年電気学会産業応用部門大会(JIASC2019)」において、「ヤングエンジニアポスターコンペティション(YPC)優秀論文発表賞」を受賞しました。

電気学会産業応用部門大会は、毎年、全国の企業?大学の技術者?研究者ら1,000人以上が参加する大規模な学会です。YPCでは、電気学会の産業応用部門が、若手技術者の育成を目的に、26歳以下の学生あるいは企業の若手技術者が行った研究発表に対して、5項目(研究の内容、論文の書き方、発表の仕方、ポスターの出来映え、質疑応答の仕方)について審査を行い、全体の10パーセント程度の優秀な論文発表に対して優秀論文発表賞を授与しています。

今回の大会では、全国の大学?高専?研究機関などから、YPCに対して過去最高の183件の発表があり、そのうち寺家さんの発表を含む18件が同賞を受賞しました。YPCは大会第1日目に行われ、同日午後20時に大会ホームページにおいて審査結果が発表されました。

寺家尚哉さんの発表内容

論文題目

磁束変調ハイブリッド界磁モータにおける回転子渦電流損の低減

著者

寺家尚哉?深見正?小山正人(金沢工業大学)

満田宇宙?山田正樹(三菱電機株式会社)

発表概要

研究グループ(金沢工大と三菱電機の研究グループ)では、電気自動車向けに、磁束変調ハイブリッド界磁モータと名付けた新構造の可変磁束永久磁石モータの開発を進めています。可変磁束永久磁石モータとは、状況(トルクや回転速度)に合わせて磁極からでる磁束を変化させ、効率よく運転できるようにした永久磁石モータのことをいいます。今回は、同モータの原理検証に関わる研究成果の一端を発表しました。

一般的な交流モータでは、固定子と呼ばれる静止部分に電流を流す電機子コイルが施されています。また、回転子と呼ばれる回転部分には、磁束を発生させる永久磁石(いわゆる磁極)が取り付けられています。

開発中のモータは、磁束変調と呼ばれる特殊な技術を使って、固定子に、電機子コイルだけでなく、磁極を取り付けられるようにしています。このため、回転子には、磁極が不要となり、鉄心のみで構成することができます。そのうえ、磁極である永久磁石を固定子に取り付けることで、電磁石との組み合わせ(いわゆるハイブリッド化)が可能になり、磁極の磁束を自由に変化できます。

しかし、回転子の鉄心が、固定子に取り付けた磁極の磁束を直接切るため、回転子に渦電流損と呼ばれる熱が発生しやすくなります。その低減が、開発中のモータの設計上の重要な課題となっていました。

今回の発表では、回転子に発生する渦電流損を低減する方法を示しました。そして、考案した方法を適用した新構造モータを設計し、それを夢考房で技師の助言のもと製作して、実験によりその妥当性を証明しました。

寺家尚哉さん

【関連ページ】

2019年 電気学会産業応用部門大会(JIASC2019)

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