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クラスター研究室で日本舞踊自動採点プロジェクトを立ち上げ。日本舞踊「扇流」家元の協力のもと、心理科学科やロボティクス学科、情報工学科などの学科横断で取り組む
金沢工業大学では、クラスター研究室の新しい取り組みとして、「日本舞踊の普及を技術面からサポートするためのプロジェクト」を立ち上げました。3月16日(月)に日本舞踊「扇流」家元の扇梅芳氏などを交えたキックオフ?ミーティング、踊りの測定実験が行われました。
このプロジェクトは、日本舞踊をカメラなどの機材で撮影し、遠隔地からその踊りを自動的に採点することを最終的な目的としています。人の動作を認識できるデバイスKinectなどを使い、プロと素人の踊りを比較して、科学的見地から踊りの良し悪しを判断できるシステムの開発をめざします。
さまざまな学科の研究室がこのプロジェクトに参画します。心理科学科の伊丸岡研究室は主に踊りの評価を担当します。これまでの研究で少林寺拳法の演舞の印象評価を行ったことがあり、その知見を活かしSD法や重回帰性分析などを用いて、プロと素人の踊りの印象評価を行う予定です。また踊り手の視線を計測し分析する研究も行います。
ロボティクス学科の小暮研究室、情報工学科の河並研究室が踊りの測定を担当します。Kinectなどのデバイス、ステレオカメラを用いて踊りをトラッキングし、踊り手の関節の角度変化、加速度、角速度などを割り出します。機械学習などの技術を用いることで、和服を着た状態でもトラッキングが可能であり、踊り手の動作を高精度に検知することができます。
また、経営情報学科の石原正彦教授、体育教員の鈴木貴士講師、畝本紗斗子助教、佐々木瑛助教もメンバーとしてプロジェクトに加入しており、それぞれの専門的見地からプロジェクトに関わります。学外の連携先として、日本舞踊「扇流」家元の扇梅芳氏や、医療機器販売のティック株式会社にも協力いただきます。
印象評価の結果と踊りのトラッキングの結果から、自動採点のシステムを構築することを最終的にめざします。
3月16日(月)の測定実験では、伊丸岡研究室?小暮研究室の機材を使い、扇梅芳氏の実演を複数回測定しました。今後も測定を行い、並行して評価?分析を行っていく予定です。
クラスター研究室について
金沢工業大学では、世代?分野?文化を超えた共創教育を進めていますが、「分野を超えた共創教育」の核となるのが、学科間の垣根を超えて1つの研究テーマに取り組む「クラスター研究室」です。クラスター研究室では、これまで「椅子再生工場を支える技術の提案と空間設計」「健常者も障がい者も楽しめるチェアスキーの設計と開発」など6つのテーマで研究が行われてきました。2020年度から新たな取り組みとして、今回の「日本舞踊の普及を技術面からサポートするためのプロジェクト」が加わることとなります。学科横断型のプロジェクトであり、さらには日本舞踊という芸術(Art)を題材としている点で金沢工業大学でも珍しい取り組みとなります。