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応用化学科岡田豪講師が共著者となった論文がNature Research『Scientific Reports』に掲載されました

Cu添加アルカリアルミノリン酸塩ガラス

金沢工業大学バイオ?化学部 応用化学科 岡田豪講師(専門:材料工学、量子検出)が共著者となった論文「Oxidation suppression of Cu in alkaline aluminophosphate glass and the effects for radiation-induced luminescence characteristics」(アルカリアルミノリン酸塩ガラス中のCuの酸化抑制と放射線誘起発光特性への影響)が2020年12月8日発行のNature Research『Scientific Reports』に掲載されました。

『Scientific Reports』は一次研究論文を扱うオープンアクセスの電子ジャーナルで、自然科学(生物学、化学、物理学、地球科学)のあらゆる領域を対象としています。

このたび掲載された論文は、国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 柳田研究室(センシングデバイス研究室)の白鳥大毅氏、加藤匠助教、中内大介 特任助教、河口範明准教授、柳田健之教授と、国立研究開発法人産業技術総合研究所 材料?化学領域主任研究員の正井博和氏、金沢工業大学応用化学科 岡田豪講師による共著で、放射線検出用の既存の材料に代わる新しい蛍光材料の候補としてガラスの放射線誘起発光特性について述べています。

今日、蛍光材料を用いた放射線検出器は、例えば、個人の線量監視や医療診断、セキュリティ、高エネルギー物理学、環境線量監視、油田探査などに広く利用されています。一般的にこのような蛍光材料は、高エネルギーの電離放射線を低エネルギーの光子に変換するために使用され、放射線は光検出器で変換された光子を読み取ることによって間接的に検出されます。

実用的な放射線検出器の材料形態は単結晶とセラミックが主ですが、ガラスは単結晶やセラミックに比べて、加工性が高く、大量生産が容易であること、化学組成が幅広いことなど、大きな利点があるものの、ほとんど使用されていないのが現状です。

そのため、ガラスは放射線検出用の既存の材料に代わる新しい蛍光材料の候補となっています。

Scientific Reports掲載論文

Oxidation suppression of Cu in alkaline aluminophosphate glass and the effects for radiation-induced luminescence characteristics

Daiki Shiratori, Hirokazu Masai, Takumi Kato, Go Okada, Daisuke Nakauchi, Noriaki Kawaguchi & Takayuki Yanagida

Scientific Reports volume 10, Article number: 21403 (2020)

https://www.nature.com/articles/s41598-020-78510-z

Abstract(訳)

ガラス蛍光体は、その高い加工性と幅広い化学組成の利用可能性から、放射線検出器への応用のための魅力的な材料である。最近では、様々な発光活性剤を含むガラスのX線誘起発光が世界的に活発に研究されている。蛍光体としての用途では、ガラス中で複数の価数状態をとることができる活性剤の価数状態を調整することが非常に重要である。本研究では、アルカリアルミノリン酸塩ガラス中の銅活性剤イオンの価数状態に及ぼすガラス溶融雰囲気の影響と放射線誘起発光特性を調べた。Cu添加ガラスの光吸収及びX線吸収端近傍構造スペクトルから、Ar雰囲気中で溶融したガラスは大気中で溶融したガラスに比べてCu+の濃度が高いことがわかった。また、Cu+の存在はフォトルミネッセンス(PL)量子収率とPL運動定数を高めることがわかった。さらに、Cu+濃度の増加は、X線誘起シンチレーションと熱刺激による発光強度の改善につながることを明らかにした。

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