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電気電子工学科の横谷哲也教授が主導してきたIoTプラットフォームが国際標準として出版。IoTの普及促進に向けIoTプラットフォームを規定。大学院生も調査分析及び原理検証に貢献
電気電子工学科の横谷哲也教授が中心となって推進してきたIoTプラットフォーム「IoT Data Exchange Platform (IoT DEP)」が、ISO/IEC JTC1(※)で承認され、国際標準「ISO/IEC 30161」として2020年11月27日にISOより出版されました。
すべてのモノがインターネットに接続するIoT(Internet of Things、モノのインターネット)については、現在注目を集める技術の一つです。IoTに関する一つの重要な課題として、実際の提供サービスとそのための技術的要求条件の明確化があります。また、その検討結果を元にした、サービスに共通的に適用できるプラットフォームの規定が必要とされていました。
横谷教授は、IoTの普及促進を目的に、IoTの様々なサービスを収容するプラットフォームや、それを実現するミドルウェアの標準化を2016年から推進してきました。最初にIoTユースケースの分析を実施し、その結果、通信処理が軽量化され、物理的なネットワークを抽象化するプラットフォームが必要であるという結論を導きました。この結論を基に、標準化のための日本提案のプロジェクトを立ち上げ、IoT DEP(IoT Data Exchange Platform)と呼ばれるIoTプラットフォームを提案しました。また、この国際標準を円滑に進めるために国際会議などの招致なども行い、日本主導で標準化を進め、この度、ISO/IEC 30161として完遂させました。
横谷教授らが提案したIoT DEP(IoT Data Exchange Platform)は、IPアドレスやDNSサーバを用いた従来の通信方式と比較して効率的なデータ転送を行うことができる、IoTに特化した通信方式です。軽量化された通信の実現のために、IPアドレスに縛られないInformation Centric Network (ICN)技術を適用し、電子メールやインターネットアクセスなどの既存のサービスとの接続を担保しながら、膨大な数のデータの転送を実現することができる仕様となっています。
今回の国際標準策定は、経済産業省の「戦略的国際標準化加速事業」の一環として金沢工業大学が受託し2016年度から実施されたもので、横谷教授は事業の代表研究者を務めました。また、ISO/IEC JTC1/SC41では、上記アドホックグループ(AHG 12) コンビナー(リーダ)、ISO/IEC 30161プロジェクトエディタなども務め、国際標準化を主導しました。
IoTプラットフォームの国際標準化により、今後のIoTの普及促進が期待されます。今回の国際標準化は、産学官からなる情報処理学会 情報規格調査会のメンバーと連携して推進しました。また、調査分析及び原理検証のために、金沢工業大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻の学生も研究補助員として貢献しました。前述の国際会議の折には、代表学生が会議の議長から貢献に対して感謝の言葉を受けています。
※ISO/IEC JTC1:ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同の技術委員会。
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