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電気電子工学科?伊東健治研究室卒業生の麦谷彰彦さんが「IEEE名古屋支部国際会議研究発表賞」を、廣野敦哉さんが「エレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞」を受賞
電気電子工学科?伊東健治研究室の麦谷彰彦さんが「IEEE名古屋支部国際会議研究発表賞」を、廣野敦哉さんが「エレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞」を受賞しました。いずれも金沢工業大学の卒業生で、受賞は在学中の研究成果が評価されたものです。
麦谷彰彦さんの受賞
2021年IEEE名古屋支部「国際会議研究発表賞」
IEEEは電気?電子分野で世界最大の学会です。その名古屋支部(東海?北陸地方)所属の学生に対し、海外で開催される国際会議での研究発表を奨励することを目的として設けられた「国際会議研究発表賞」に10名が選ばれ、3月30日にリモート表彰式が行われました。麦谷さんは2020年11月15日から19日に、韓国ソウルで開催された2020 IEEE Wireless Power Transfer Conference (WPTC2020)でリモート発表を行い、今回の受賞はその内容が評価されたものです。WPTCは無線電力伝送分野で最も有力な国際会議です。そのなかで麦谷さんはWiFiと同じ周波数の2.4GHz帯での受電回路(アンテナと整流器を組み合わせたレクテナ)の発表を行っています。すべての回路機能を組み入れたアンテナを新たに実現し、アンテナにダイオードを直接接続する新たな構成により、世界トップクラスの電力変換効率を実現し、高く評価されました。この成果は、世界最高効率を達成した5.8GHz帯レクテナの原型であり、麦谷さんの研究が大きく貢献しています。
発表題目:High efficient 2.4 GHz band rectenna with the harmonic reaction FDA
受賞者: 麦谷彰彦さん(大学院工学研究科電気電子専攻1年次 ※発表時)
著者:麦谷彰彦さん(発表者)、廣野敦哉さん、坂井尚貴研究員、伊東健治教授
指導教員:伊東健治教授
廣野敦哉さんの受賞
電子情報通信学会「エレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞」
この賞は、電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティでの優秀な学生発表に授与されるもので、毎年6件が選考されます。廣野さんは、2021年3月にリモート開催された電子情報通信学会総合大会で、最先端のSOI-CMOSプロセスで彼自身が設計した無線電力伝送用CMOS整流器ICの特性について検討した発表を行いました。CMOS ICとしては世界トップの整流効率を得た結果が評価され、学生奨励賞を受賞し、9月14日にリモート表彰式が行われました。廣野さんはアンテナからCMOS ICまでの設計を行っており、修士課程修了者としては国内でも有数の高周波デバイス設計経験を有しています。現在は、村田製作所に勤務しています。
発表題目:Cross Coupled CMOS pairによる整流用ダイオードの特性
受賞者:廣野敦哉さん(大学院工学研究科電気電子専攻 2年次 ※発表時)
著者:廣野敦哉さん(発表者)、坂井尚貴研究員、伊東健治教授
指導教員:伊東健治教授
伊東健治研究室について
現在、伊東研究室ではマイクロ波での無線電力伝送の研究に取り組んでいます。本研究室が扱う920MHz、2.4GHz、5.8GHzの電波を用いるシステムも近々法制化する予定で、急ピッチで実用化が進められています。このような情勢のなか、2010年度からの伊東研究室での研究の積み重ねが、いくつもの世界トップの性能を有するデバイスを生み出しています。
その成果が認められ、現在、無線電力伝送に関し2つの国家プロジェクトを受託するとともに、9社との共同研究を実施中です。これらの研究実績をもとに、2021年度より、ソフトバンク?京都大学とともに次世代携帯電話B5Gと無線電力伝送の融合システムの国家プロジェクトをスタートしました。さらに電波を用い演算用超伝導素子を励振する量子コンピュータの国家プロジェクトもスタートしています。活況を呈する研究環境のなか、研究室所属の麦谷さん、廣野さんの研究成果が認められ、学会から表彰を受けました。