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附木貴行講師、吉村治教授が、高強度で軽量化に優れたセルロースナノファイバーを利用したヘルメットを産学連携で開発。モータースポーツなど幅広い分野での需要に期待

応用化学科の附木貴行講師、吉村治教授が株式会社ウインズジャパン(石川県金沢市横川)と進める、植物由来の新素材を使ったヘルメット開発の取り組みが、公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)の機関紙に掲載されました。

附木講師、吉村教授は、ISICOの紹介をきっかけに、石川県でバイク用ヘルメット製作?販売を手がける株式会社ウインズジャパンと2019年度から共同開発を開始し、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー」製のヘルメットを開発しました。セルロースナノファイバーを用いることで、オートバイ用のヘルメットに使用される従来のガラス繊維複合材料よりも高い強度を実現するだけでなく、軽量化によりヘルメット装着時の首への負担を軽減するなどの機能性をもたせることに成功しました。

出典:『情報誌ISICO』 vol.119(2021年12月発行) 4~5ページ

セルロースナノファイバーと研究開発

セルロースナノファイバー(CNF)は、優れた機械的特性をもち、熱による寸法変化が小さく、軽量で環境に優しいバイオマス素材(再生可能な持続型資源)です。ガラス繊維をセルロースナノファイバーに変換しヘルメットに採用することで、重量の軽量化が見込めます。また、今回の開発で使用したセルロースナノファイバーは樹脂含浸性や成形加工性がよく、球体のヘルメットの形状にも対応できます。

目標となるのは、セルロースナノファイバー単体でのヘルメット製作ですが、セルロースナノファイバーは価格が高く、事業化?量産には費用の削減が必要となります。そのため、今回の開発にあたっては、セルロースナノファイバーの使用量を減らして費用をおさえるため、セルロースマイクロファイバー(CMF)、バイオマス繊維の不織布、混抄紙、織物などとともに積層複合化する技術を研究しました。また、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などのハイブリット積層体の成形加工の技術も実現し、今後、さらなる強度の向上、軽量化を視野に研究を行っています。

開発したセルロースナノファイバー製のヘルメットは、軽量かつ高強度などの機械的特性が要求されるモータースポーツやアーバンスポーツなどでの用途が期待され、今後の需要が見込まれています。また、ヘルメット製作に使用したハイブリット積層体の技術は、家具、スケートボード、スノーボードなどの成形加工に応用することが可能であり、さまざまな潜在能力があります。2021年からは、企業「TEC STYLE」に成形加工を担当していただき、より精巧なヘルメットの作製に取りかかっています。

【関連リンク】

情報誌ISICO vol.119 2021年12月発行 - 公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)

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