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【金沢工業大学におけるGX研究】
再生可能エネルギー活用直流マイクログリッドへの適用を目指して、蓄電池の自律分散型制御方式を研究した大学院生の水落さんが電気学会「優秀論文発表賞」受賞
金沢工業大学大学院電気電子工学専攻修士2年の水落誠さん(泉井良夫研究室)が、2023年8月31日(木)に北海道科学大学で開催された「2023年電気学会電子?情報?システム部門大会」で「2022年電気学会電子?情報?システム部門大会優秀論文発表賞」を受賞しました。部門大会の全講演333件の中から5件が同賞に選出されました。
受賞した水落さんの研究
水落さんは、カーボンニュートラル実現のため導入拡大する再生可能エネルギーを、地産地消で利活用するために必要となる蓄電池の自律分散型制御方式について発表しました。本方式は、白山麓キャンパスで社会実装中のエネルギーマネージメントシステムである、再生可能エネルギー活用直流マイクログリッドへの適用を念頭においたものです。蓄電池の充放電制御を太陽光発電の発電量予測と連携することにより、従来方式に比較して、太陽光発電の発電電力を、より一層無駄なく活用してCO2を削減できます。
<論文題目>
「再生可能エネルギーベストミックスのコミュニティモデル実証実験―DCマイクログリッドの電圧による自律分散型制御(3)―」
著者:水落誠、西田義人、泉井良夫、本田誠人、 大矢良斗、 夏梅大輔、田畑浩数
GX (Green Transformation)に向けた金沢工業大学における取り組み 特に再生可能エネルギー分野における概要紹介
2050年までにカーボンニュートラルの実現をめさず「Green Transformation(GX)」は地球温暖化による気候変動や異常気象の加速を抑える意味で、いまや喫緊の課題となっています。
金沢工業大学では2018年度に開設した白山麓キャンパスにおいては、直流をベースとした再生可能エネルギー(熱と電気のエネルギー)の地産地消シェアモデルの構築を進め、蓄電池充放電の自律分散型制御やEVを使用した仮想配電線、AIを活用した太陽光発電量の予測など、さまざまな実証実験に取り組んでいます。
さらにメインキャンパスである金沢工業大学扇が丘キャンパス内(石川県野々市市)では2022年、直流による電力融通設備を産学共同で構築。再エネの最大限導入と電力レジリエンス強化、既存交流電力網の負担軽減の実現に向けた直流による共同事業実施しています。
2023年4月には、新たに次世代エネルギー貯蔵の媒体として期待される再エネ水素を活用した「再エネ水素活用分散型蓄エネシステム」を開発し、白山麓キャンパスにおいて実証実験を開始しています。本システムは、地域?家庭の再生可能エネルギーと水素を連携させるための基盤技術で、カーボンニュートラルの実現とエネルギーレジリエンス向上への貢献を目指して研究開発を進めています。
金沢工業大学では基礎研究と実証研究を通じてGX実現に向けて、さまざまな貢献を果たしてまいります。
【関連サイト】
金沢工業大学におけるカーボンニュートラルへの取り組み(2023年3月3日 泉井良夫) 国立情報学研究所「教育機関DXシンポ」発表資料より
地域GX(グリーントランスフォーメーション)共創プロジェクト
カーボンニュートラルの未来を拓く、直流スマートグリッドの可能性