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【静電気学会 宍戸奨励賞 受賞】
大学院電気電子工学専攻博士後期課程2年の渡部 佳月さん
大学院電気電子工学専攻博士後期課程2年の渡部 佳月さん(研究指導担当教員:大澤 直樹教授)が2024年2月29日に東京大学本郷キャンパスで開催された2024年度(第25回)静電気学会春期講演会にて、宍戸奨励賞を受賞しました。
静電気学会では、宍戸一記念学術振興会からの寄付のもとに、若手研究者育成の一助として、当会会員の今後活躍が期待される若手研究者を対象に静電気関連の研究成果の発表に関わる費用の一部を助成するとともに、宍戸奨励賞を授与し、表彰しています。
今回の春期講演会では、東京大学、東京工業大学、東京都立大学といった国公立大学を中心に36件の講演発表があり、そのうち、12件の論文が宍戸奨励賞にエントリーされました。そして専門家による厳正なる審査の結果、渡部さんが執筆した論文が優秀であると認められ、この度の受賞となりました(受賞率は8.3%)。
渡部さんの受賞対象となった論文題目,著者,発表概要は,次のとおりです。
論文題目:誘電体表面電位と大気圧空気中における均一バリア放電現象の関係
著 者:渡部佳月、大澤直樹
発表概要:
電極間に誘電体を少なくとも1枚挿入した状態で、電極に交流電圧を印加すると、ギャップにはストリーマ放電の集合体である誘電体バリア放電が発生します。2009年、大澤直樹研究室では世界に先駆けて空気中や酸素中でストリーマ放電を伴わない均一バリア放電の発生に成功しました。誘電体表面の帯電状態がその発生メカニズムに関係していると考えられています。
本研究では、新たに考案した高電圧電源の制御法によって誘電体表面の帯電量を制御することに成功し、帯電量が均一バリア放電発生に及ぼす影響を調べました。また、帯電量制御後に印加する電圧の波高値を変え、電界強度の影響も調べました。
その結果、(1)均一バリア放電を発生できる誘電体材料でも、同一の電圧波高値では帯電量が少ないと発生しないこと、(2)帯電量が少なくても、電圧波高値を高くして電界強度を高くすると発生することを明らかにできました。
本研究は、JSPS科研費JP23K03824の助成を受けて行われました。
渡部さんは、博士前期課程に在学中、静電気学会主催の各種大会において「エクセレントプレゼンテーション賞」や「Best Presentation Award」を計3回受賞しており、宍戸奨励賞は初受賞となります。
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