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【金沢工業大学の社会実装型研究事例】
別川製作所との共同研究で、学生がAIを活用したDXにより製造現場の課題解決
金沢工業大学は、これからの成長分野であるDX(digital transformation) ?GX(green transformation)?SX(sustainability transformation)をリードする人材育成を目指した社会実装型教育研究を全学で展開しています。
金沢工業大学の社会実装型教育研究とは、学生自らが社会性のある研究課題を発見し、解決策を提案。実社会に組み込み、ユーザーからのフィードバックを得ながら研究をさらに深めることで、社会で求められるイノベーションを創造できる人材育成を目指す取り組みです。
2023年度、石川県白山市にある株式会社別川製作所と金沢工業大学情報工学科 松井くにお?坂本真仁研究室の共同研究として行われた「スマートファクトリーに適応した生成AIによる自由対話システムの開発」と「スマホを活用したスマート検針サービス化の技術開発」を事例に学生の研究開発の取り組みをご紹介します。
【株式会社別川製作所について】
受配電設備及び各種プラント制御?自動化システムや空調?照明コントロールシステムの設計、製造、販売、設置工事、保守及び保全、鉄道電気設備における設計、保守及び保全、電気、通信、工事の設計並びに施工請負を事業に掲げる企業で、近年はKNX(住宅やビルのエネルギー機器を制御できる国際規格)やIoT、AIなど新しい事業分野への取り組みを加速させています。
【スマートファクトリーに適応した生成AIによる自由対話システムの開発】
須山大輝さん(金沢工業大学大学院情報工学専攻博士前期課程2年.学年表記は2023年度)は、生成AIの文を生成する技術は人とロボットが協力する上で発生する課題の解決に役立てられるのではと考え、共同研究に組込みたいと株式会社別川製作所に提案。生成AIとの自由な対話で製造現場の課題解決につなげるシステム開発に取り組みました。
「ChatGPT」でも使用されているLLM(大規模言語モデル)技術を採用したもので、作業者がブラウザ上で入力した質問や命令に対し、生成AIが自然な対話形式で応答。その生成AIからの情報に従い、作業者はその場で迅速に課題を解決することができるというものです。
実装にあたっては、別川製作所の製造部門に向けた企業独自のマニュアル(全13ページ)のPDFデータを使用しました。PDF内の情報を数値化し、生成AIにそのデータを保持させます。作業者からの質問に対し、生成AIはその保持するデータの中から信ぴょう性の高い適切な「回答」を対話文に起こし、明示します。
システム構築のポイントとなったのは、LLMも含めて外部サービスを使用しないという点です。すべて自社内で構築するシステム(オンプレミス)にすることにより、企業の機密情報や独自技術が漏洩するリスクを防ぎます。それと同時に社内にある数多くの情報をとことんAIに学習させれば、活用の幅も大きく広がります。
別川製作所は将来的に当システムを同社が独自に構築検証するCreerプラットフォームに組み込み、スマートファクトリーへの適応を目指す考えです。
【スマホを活用したスマート検針サービス化の技術開発】
多くの製造現場では、目視によるメーターチェックと、紙に手書きやPC入力による記録保存が一般的です。
伊藤和希さん(金沢工業大学威廉希尔中文网站情報工学科4年.学年表記は2023年度)は、スマホのカメラで撮影したアナログメーターの画像をサーバーにアップロードし、画像からメーターの識別と数値をデジタル化するスマート検針技術の開発に取り組みました。このスマート検針技術を用いることで、作業者の手間を簡略化し、データの入力ミスを防ぐことができます。
ポイントとなるのは機械の情報を組み込んだQRコードです。そのQRコードをメーター付近に貼付して、メーター本体と一緒に1枚の画像に収めて撮影?アップロードします。サーバー上ではAIがQRコードに記録された機械の情報とメーターの数値を画像から相互に分析。デジタル化したデータは、機械ごとに保存?データベース化することができ、過去のデータと比較して異常の予兆を検知することにも役立てられます。
画像からアナログメーターの数値を読み取る技術は、石川県工業試験場から技術移管を受けています。伊藤さんはQRコードとの相互分析の仕組みや、撮影からデータの読み込み、保存までの一連の作業をブラウザ上で行えるように開発。別川製作所の塗装工場で実証実験を行いました。
別川製作所は将来的に当システムを同社が独自に構築検証するCreerプラットフォームで展開を予定しています。
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