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【市民間の自然な援助の活性化や孤立?孤独の予防に貢献】
周囲の人の話や悩みを聴く[傾聴スキル]をロールプレイで学ぶ。「第17期野々市市民カウンセラー連続講座」を開催

金沢工業大学心理科学研究所と野々市市福祉総務課は、7月6日(土)と13日(土)の2週に渡り、野々市市民や野々市市に関係する方々を対象とした「第17期?野々市市民カウンセラー連続講座」を「にぎわいの里ののいちカミーノ」1Fホールにて開催しました。
本講座は心理科学研究所と野々市市福祉総務課との協働により、平成26年度以降 継続的に実施し、今年度で11年目を迎える人気の講座です。「周囲の人の話や悩みを聴くコツ(傾聴)」や「難しい相談に際し紹介先となる専門窓口」を学びます。

研修の様子。にぎわいの里ののいちカミーノの明るく広い会場で行われた

運営は、金沢工業大学大学院臨床心理学専攻の大矢寿美子教授、松本圭教授、山上史野准教授、伏島あゆみ准教授の4名と大学院生12名、そして野々市市健康福祉部福祉総務課からは健康福祉部次長(福祉総務課長 兼任)はじめ3名により行われました。

大矢教授は開講冒頭の挨拶で、カウンセリングにおける4つの大事なこととして「気付く」、「聴く」、「繋げる」、「見守る」の重要性について触れ、参加者はそれに基づく傾聴スキルを学びました。また今期は令和6年能登半島地震の被災者が県内各地に避難されている状況を鑑み、「災害時支援における傾聴について」のパートを追加し、「聴く」から「繋げる」ことの大切さも学びました。

ロールプレイは大学院生が中心となって行われ、学生にとっても実践的な実習の場になりました。

大矢教授の開講挨拶健康福祉部次長より修了証を授与

山上准教授の講義風景 松本教授の講義風景

大学院生からはロールプレイ開始前の良い例と悪い例について実演が行われた

ロールプレイの模様。両日で計4回実施された

このたび実施された第17期では、20代~70代までの計27名(市民24名と金沢工業大学の学生3名)が修了証を受領し、講座を終えました。

【当講座の意義】

「傾聴」とは、コミュニケーションの基礎となるもので、カウンセリングだけでなく、普段の生活や仕事、プロジェクト活動など、人と関わるすべての活動において活用できるスキルです。当講座では「傾聴」に関する心構えを学ぶだけでなく、傾聴スキルを磨くため、実際に聴き手?話し手に分かれた「ロールプレイ」を重点的に行うことで、望ましいコミュニケーションのスキルをステップバイステップで学習できるようになっています。

また、班替えによって、毎回、異なる受講者同士でロールプレイを行うため、受講者にとっては異なる立場や年齢層の市民と触れ合う機会にもなっています。また日頃、地域の方と触れ合う機会が少ない学生にとっては、世代や分野を超えて交流を深める貴重な場になりました。

さらに、日常的な「よいこと」を記録するというウェルビーイング向上のためのワークを通した学びや、相談を受けた際に適切な窓口につなげるため、野々市市の担当者による社会資源情報(こころの悩み、多重債務、子育て?教育、DV、いじめ、自殺対策 等の各種相談窓口等)の紹介を通して、幅広い知識を得ることができました。
また、より理解を深めてもらえるよう、第15期からは学びの杜ののいち カレード(野々市市立図書館)にある関連蔵書の案内も行っています。

第17期の受講者からは、以下のような感想や意思表明が寄せられました。

?普段 人と話すときは、自分の“引き出し”から話題をあげないといけないと思っていたが、聴くだけでいいんだ、むしろ聴いて欲しいのだと理解できた。

?これまでの自分は話をし過ぎていたと反省した。

?“傾聴”と“同情”は違うことが分かり、相手に対する聴き方が変わった。

?いろいろな考えに自分の意見を入れてしまいがちだが、共感することで聴きやすくなった。

?相手を動かすにも、“話を聴く”ことからなんだと気付けた。

?社会資源情報である具体的な相談窓口を知ることができてよかった。

このように、受講者は「傾聴スキル」にとどまらず、普段の社会生活におけるウェルビーイング意識の高まりを実感できる講座となりました。

さらに、以下のような声もありました。

?野々市市民として、今後どのような形で市民カウンセラーとして過ごしていくかを考え、市民活動団体にも参加していきたい。

?ブラッシュアップ講座があれば受講したい。

?野々市カレードの蔵書からの紹介で、『カール?ロジャーズ カウンセリングの原点』諸富祥彦著)を借りた。

心理科学研究所と野々市市福祉総務課では、今後もより多くの関係者や各種団体と協働して”他者の役に立てる“社会貢献に繋がる学びの場となるようブラッシュアップしていきます。

【野々市市民カウンセラー連続講座のこれまでの活動について】

本講座(第1期)は、平成26年度に野々市市と金沢工業大学が連携して発足した事業です。「傾聴」についての講座を実施し、傾聴力を身に付けた人材=市民カウンセラーを野々市市内に増やすことで、野々市市をさらに住みよいまちにすることを目的に開催しています。
新型コロナ前は4~5日間に渡る日程で、野々市市庁舎や金沢工業大学で年に2回開催していましたが、コロナ感染症拡大に伴い、令和2年度は中止となりました。
令和3年度からは野々市市にぎわいの里ののいち カミーノに会場を移し、アクリル板設置や換気ができ、密にならない等の感染予防が可能な1Fホールにて再開しました。令和4年度からはコロナ前と同じ年2回の開催に戻し、その後も学びの杜ののいち カレード(野々市市立図書館)研修室や野々市市役所ホール椿といった新たな会場も加え、野々市市との更なる関係性を深めています。

第1期から第17期終了までの総修了者数は375名となり、野々市市の総人口の約54,000人に対し約0.7%を占めるに至りました。これからも市民間の自然な援助の活性化や孤立?孤独の予防に貢献できるよう当講座を継続していきます。

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