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「第18期 野々市市民カウンセラー連続講座」を にぎわいの里ののいちカミーノ で10月5日(土)?12日(土)に開催
金沢工業大学心理科学研究所と野々市市福祉総務課は、10月5日(土)?12日(土)の2週に渡り、野々市市民、野々市市に関係する方々を対象とした「第18期?野々市市民カウンセラー連続講座(以下 本講座)」をにぎわいの里ののいちカミーノ 1Fホールにて開催しました。本講座は本学心理科学研究所と野々市市福祉総務課との協働により、平成26年度以降 継続的に実施し、今年度で11年目を迎える人気の講座です。当講座では「周囲の人の話や悩みを聴くコツ(傾聴)」や「難しい相談に際し紹介先となる専門窓口」を学びます。
運営は、本学大学院臨床心理学専攻の教員3名(大矢寿美子教授、松本圭教授、山上史野准教授)と、大学院生11名、野々市市 健康福祉部福祉総務課から健康福祉部次長(福祉総務課長 兼任)はじめ2名が担いました。
開講挨拶にて、大矢先生から市民カウンセラーにとって大事な4つのポイントとして、「気付く」、「聴く」、「繋げる」、「見守る」の重要性が伝えられ、そのために必要な傾聴スキルを学びました。また、今期は令和6年能登半島地震や9月の豪雨によって甚大な被害が生じている状況を鑑み、第17期に引き続き「災害時支援における傾聴について」のパートを追加し、「聴く」から「繋げる」ことの大切さも学びました。それと今回も、院生が中心となってロールプレイのパートを進行し、彼らにとっても、より実践的な実習の場にもなっています。
そして、第18期は18~70代までの計21名(市民19名と本学学生2名)が修了証を受領し、当講座を終えました。
「傾聴」とは、コミュニケーションの基礎となるもので、カウンセリングだけでなく普段の生活や仕事、またプロジェクト活動など、人と関わるすべての活動において活用できるスキルです。当講座では「傾聴」に関する心構えを学ぶだけでなく、傾聴スキルを磨くため、実際に聴き手?話し手に分かれて「ロールプレイ」を重点的に行うことを特徴に掲げ、望ましいコミュニケーションのスキルをステップバイステップで学習できるようにしています。
また、班替えによって、毎回、異なる受講者同士でロールプレイを行うため、受講者にとっては異なる立場や年齢層の市民と触れ合う機会にもなっています。特に、普段、地域の方と触れ合うことの少ない学生によっては、世代や分野を超えた交流を深める貴重な経験の場にもなっています。
加えて、日常的な「よいこと」を記録するというウェルビーイング向上のためのワークを通した学びや、相談を受けた際に適切な窓口につなげるため、野々市市の担当者による社会資源情報(こころの悩み、多重債務、子育て?教育、DV、いじめ、自殺対策などの各種相談窓口等)の紹介を通して、幅広い知識を得ることができます。更に、より理解を深めてもらえるよう、第15期からは学びの杜ののいち カレード(野々市市立図書館)にある関連蔵書の紹介もしています。
実際に、第18期の受講者からは、以下のような感想や意思表明が寄せられました。
?仕事で後輩と話す時、こちらの考えを押し付けるのではなく、自分で整理できるよう促していけると思いました。
?子供の話を聴くのが下手だったが、ポイントを教えてもらえました。ありがとうございました。
?講義を受けロールプレイを行うことで、実践的に理解を深めることができました。
?初対面の人と会話を楽しめた。
?日常では関わることがない世代の人達と楽しく話せる貴重な体験ができた。
?自分が思っている以上に日々に良い事があると分かり、幸福感が増えました。
?日々感謝したり、良かったことを思い出して一日を終える事の素晴らしさに気づきました。
このように、受講者は普段意識しない「話を聴く心構え」や「傾聴スキル」を体験的に習得し、日々の社会生活におけるウェルビーイング意識の高まりを実感できる講座となりました。また、これらを受けて、今後もより多くの関係者や各種団体と協働して社会貢献(他者の役に立てる)に繋がる学びの場となるようブラッシュアップしていきます。
【野々市市民カウンセラー連続講座のこれまでの活動】
本講座(第1期)は、平成26年度に野々市市と金沢工業大学が連携して発足した事業で、「傾聴」についての講座の実施により、傾聴力を身に付けた人材=市民カウンセラーを野々市市内に増やすことで、野々市市をさらに住みよいまちにすることを目的としています。過去は4~5日間に渡る日程で、野々市市庁舎や金沢工業大学で年に2回開催していました。新型コロナ感染症拡大に伴い、令和2年度は中止となりましたが、これを機に令和3年度からは野々市市にぎわいの里ののいち カミーノに会場を移し、アクリル板設置や換気ができ、密にならない等の感染予防が可能な1Fホールにて再開しました。令和4年度からはコロナ前と同じ年2回の開催に戻し、その後も学びの杜ののいち カレード(野々市市立図書館)研修室や野々市市役所ホール椿といった新たな会場も加え、野々市市との更なる関係性を深めています。
第1期から第18期終了までの総修了者数は、これで396名となり、野々市市の総人口の約54,000人に対し、0.7%を占めるに至りました。これからも市民間の自然な援助の活性化や孤立?孤独の予防に貢献できるよう当講座を継続していきます。