- 虎ノ門大学院ブログ
- 2024年12月22日
【授業レポート】スロー?リーダーシップ特論(野村恭彦)
組織を超えた市民としてのリーダーシップの発揮を目指す
社会人向けの大学院やビジネススクールというと、授業で学んだことを職場に“持ち帰って”仕事に活かすというイメージになりやすいもの。しかしそうではなく、逆に自分の仕事を大学院の授業に“持ち込んで”欲しい、ここでイノベーションを起こして欲しい。そんな考えのもとKIT虎ノ門大学院で教鞭を執っているのが、野村恭彦教授です。
■ 従来のMBAでは学べない授業内容 |
リーダーシップと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。特にビジネスの文脈においては、「組織的なゴールをできるだけ効率的に達成する」ための能力を指すことが多いかもしれません。しかし、複雑性が高まり、正解のない時代においては、ゴールを示し、関係者を説得し、相手を変えるというスタイルだけでは限界があります。
毎年4学期に開講している「スロー?リーダーシップ特論」では、従来の効率よく短期的な結果を目指す「ファスト」なリーダーシップに対し、「スロー」なリーダーシップを提案します。自分の価値観や夢を明確にし、人との関係を大切にし、関わる人々との深い共感を通じてともに変わる―サステナビリティとダイバーシティの時代に対応した新たなアプローチでもあります。
担当するのは、多くの組織横断、企業横断、セクター横断での変革プロジェクトに携わってきた野村教授です。長年の経験からスロー?リーダーシップの重要性にたどり着き、2019年にSlow Innovation株式会社を設立。実践から得たその知見を、まるでシャワーのように惜しみなく受講生の皆様へ提供し続けています。
■ ワークを通じて変化が生まれる |
スロー?リーダーシップは、三つのプロセスから成り立っています。
①旗を立てる:自分の大切な価値や夢に気付き、それを明確にすること
②聴ききる:さまざまな相手の話を最後まで聴き取ること
③ともに変わる:お互いの視座と関係性が高まり、社会変化を生み出すこと
全4回(計8コマ)の授業では、これらのプロセスを一つ一つ、ワークの実践を通じて身体と手を動かしながら体感的に学んでいきます。
取材日には、最初のプロセスである「旗を立てる」のワークの一つとして、「探求家のワーク」に取り組みました。社会的な肩書や仕事内容ではなく、一人の人として何を探求したいのか、思いやストーリーをゆっくり語るという内容です。
グループに別れてお互いの考えを聴き合う
先入観を手放してお互いの話を丁寧に聴き合う時間は、真剣さと温もりに満ちていました。ワーク後の感想としては、「普段思っていても会社で言えない話ができた」「自分を大切にすることから始まることを実感できた」といった声が聞かれました。
野村教授は、この授業のねらい(願い)として、「スロー?リーダーシップは、組織の利益を追求するリーダーを育てるためのものではない。組織よりも大切なあなた自身や社会のために、組織を超えた“市民としてのリーダーシップ”を発揮するためのものである」と語っています。
こうした価値観を体現しているのが、野村教授が移り住むほど惚れ込んだ京都であり、日本全国に広がる「つなげる30人」プロジェクトと言えるのではないでしょうか。都市の未来、市民のあり方を模索する先進的な取り組みは、日経COMEMOでも日々発信中です。
そして実際に、受講生一人一人が自分の思いを再発見し、共感が広がっていく風景を見て、取材者である私自身も立場を超えて仲間に加わりたいと思うほどでした。このブログ記事を呼んだ方が、虎ノ門キャンパスの熱気を少しでも感じてもらえれば嬉しく思います。
最後に、、、極めてファストな締めとなりお恥ずかしい限りですが、野村教授のもとで新たな時代のリーダーを目指したい方は、1学期の「イノベーションファシリテーション特論1」、2学期「イノベーションファシリテーション特論2」、3学期「ソーシャルファシリテーション特論」、そして、4学期の「スロー?リーダーシップ特論」の受講をぜひご検討ください!