開講科目の詳細
技術経営要論
Essentials of Technology Management
担当教員
受講対象者
自社と自身に求められる技術経営の考え方を習得したい第一線の方。イノベーションにかかわる判断力を磨きたい管理職の方
授業の主題と概要
近年のオープンAI社による生成AIのイノベーションは、技術経営の考え方にも大きな影響を与えています。たとえば、チャットGPTは、これまでのAIシステムと比べて特段に能力が高いわけではありませんが、人間のフィードバックによる強化学習を徹底して、きわめてユーザーフレンドリーにして成功しました。また、データ処理量を圧倒的に増やすことで、画像生成などにも対応できるようになりました。経営戦略の観点から、AIスタートアップがコンサルティング?ファームと提携して、これまでのマーケティングなどの概念を根本から変えるような動きも始まっています。社会から指摘されがちなAIの品質問題にも、新たに敵対的学習の手法をとり入れて、品質向上のペースを上げています。これまでの技術経営は、技術を中核にしていかに企業の価値を持続的に向上させるか、を目的にして議論が進められてきました。しかし、これからの技術経営は、人と情報を中核にして、企業価値を加速的に向上させることに目的が移りつつあります。事実、カスタマーエクスペリエンス(CX)革新、サービタイゼーション、エコ?システム、アジャイル?イノベーション、汎用人口知能、といった新たな技術経営の課題への取り組みが、多くの企業で焦眉の急となっています。本講義では、以上のような技術経営にかかわる新旧の重要テーマについて俯瞰し、議論します。
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到達(習得)目標
技術経営の従来の主要テーマを理解した上で、今後の市場?顧客と技術の動向を踏まえ、新たに求められる技術経営の重要課題と取組みについて考察することで、イノベーションを具体的に実現、加速させるスキルを習得することを目標とする
講義スケジュール
講義 回数 |
講義テーマ |
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1,2 | 「イントロダクション」 AIを含む今後のブレイクスルー技術を俯瞰した上で、オープンAI社を事例に最新の技術経営の要点を整理する。その上で、技術経営のフレームワークを紹介し、それらにかかわる重要な論点を解説する 「これまでの技術経営の背景?考え方とベスト?プラクティス企業」 従来の技術経営の背景や方法論を俯瞰した上で、国内外企業の失敗事例と成功事例を解説する。その上で、様々な今後の新技術の活用を見据え、自社や自身が、将来、考えるべき戦略的な立ち位置や方向性の議論する |
3,4 | 「顧客体験価値のイノベーション」 これからの技術経営の基盤となる「人」と「情報」の観点から、イノベーションの重要論点となる顧客体験価値(カスタマー?エクスペリエンス)について、市場経済や技術的な背景を含め事例で解説する。その上で、近未来的に有望なイノベーションの分野やテーマについて議論する 「技術経営における企業競争力の源泉」 技術経営の観点から企業競争力の源となるコア技術戦略、知財戦略、データ収集力、サービタイゼーション、などについて事例で解説する。その上で、高い不確実性への対応力が必要なこれからの時代の技術経営のあり方を議論する |
5,6 | 「イノベーション実装の迅速化のためのアプローチ」 円滑な製品開発や技術開発を阻害する原因と、それらを解消するための具体的な方策を事例で解説する。具体的にはパートナーシップやCVC、アウトソーシング、イノベーションチーム、イノベーションラボ、など広範囲での応用が可能なアプローチについて議論する 「コスト競争力の抜本的向上とエコシステム」 これまでの技術経営におけるコスト競争力向上のための方法論を事例とともに俯瞰した上で、デジタル?ツインやデジタル?ファクトリーに代表される新しいアプローチの考え方と留意点について解説する。その上で、技術経営におけるエコシステム構築の意義や重要性について議論する |
7,8 | 「アジャイル型イノベーションの考え方と課題」 イノベーションにおける品質管理の考え方を大きく変えるアジャイル型イノベーションの考え方を、これまでの品質管理のアプローチと対比して事例とともに解説する。その上で、アジャイル型開発の本質や効用?限界について議論する 「イノベーションの組織能力競争」 イノベーションを加速するために必須となる組織体制やプロセス?制度、人材管理、AI活用などを事例で俯瞰し、日本企業への示唆や留意点を議論する |
開講について
開講時期: 2学期
開講形態: 2コマ(180分)×4日間
講義回数: 全8回
※状況に応じて、一部変更が生じる場合もございます。予めご了承ください。
テキスト/参考図書
【テキスト】
適宜配布
【参考図書】
① 三澤一文「技術マネジメント入門」日本経済新聞出版社
② リード?ホフマン「ChatGPTと語る未来」日経BP
③ジェフ?サザーランド「スクラム」早川書房
④坂村健「DXとは何か」角川新書
⑤ 延岡健太郎「MOT(技術経営)入門」 日本経済新聞出版社
※上記は一部追加?変更となる場合もございます。また、指定テキスト及びケースなどは、
別途ご購入頂くもので、授業料には含まれておりません。予めご了承ください。